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コーチ,コーチング

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コラム一覧

コーチング、コンサルティング、カウンセリングの違い


 コーチングはコンサルティングやカウンセリングとどう違うの?という質問をよく受けます。悩みや問題を抱えているクライアントの方のサポートをする、という点ではこの3つは共通しています。又使うスキルもクライアントのおかれている状況を理解するために話を良く聞き的確な質問をする、などと共通している点も多くあります。

 違いはクライアントの状況を理解した後にどうするか、という点ではないでしょうか。コンサルタントは自分の持っている専門知識や過去の事例などに基づいてクライアントの問題の解決策を提供する事が多いでしょう。カウンセラーはクライアントが感情を整理したり、問題が起きるに至った背景を明らかにする事で問題と向き合い解決の糸口を見つけるのをサポートするでしょう。

 コーチングとカウンセリングはコンサルティングの様に解決策を提示するわけではなく、クライアント自身がその解決策を見つけるのをサポートするという点では似ています。カウンセラーとコーチが違うのはカウンセラーが問題の背景や原因により注目するのに対し、コーチはその問題がクライアントにとってどういう意味があるのか、クライアントはどうしていきたいのか、と焦点が将来に向けられている点だと思います。又カウンセリングがクライアントの抱える問題解決という側面が強いのに対して、コーチングはクライアントが現在の生活に満足をしていて大きな問題を抱えていなくても、それ以上にステップアップしたい、さらに一段高いレベルにチャレンジしたい、という希望を持つ場合にとても有効なサポートとなります。

 ただしこの3つのアプローチはオーバーラップする部分が多く、コーチは基本的にはコーチングのアプローチを踏まえながら、必要に応じてコンサルタント的な或はカウンセラー的なアプローチも取れる柔軟性が必要だと思っています。

電話でのセッションの特徴


 対面ではなく電話でコーチングセッションを行うということに対してコーチと信頼関係を結ぶのが難しいのではないか、自分の事を理解してもらうのに時間がかかるのではないかと不安を持たれる方も多いと思います。確かに対面だとお互いの雰囲気や表情など言葉以外のものから伝わる事が多く、特にコーチングを始めた当初はコーチとクライアントがお互いを理解し合うのに対面によるメリットも大きい事は事実です。

 ただそれでは対面のコーチングの方が電話のコーチングより効果があるか、というと必ずしもそうではないのです。電話でのコーチングの良さはコミュニケーションの手段が言葉しかない事によって、コーチもクライアントもよりクライアントの発する言葉に集中しやすくなるのです。クライアントは明確にメッセージを伝えようと思い、考えをまとめ言葉を選ぶ努力をします。そのプロセスが自分の事をより良く知る事にもつながるのです。又コーチはクライアントの言葉の内容をより良く理解しようとして聞く事に集中するし、はっきりと理解できない事があったら聞き返したり違う言葉で言い直してみて確認をとります。こうする事によって「わかったつもり」のコミュニケーションが減り、コーチとクライアントが密度の濃いコミュニケーションを取ることができるようになります。

 その一方コーチはクライアントの言った事をただ額面通りに受け取るのではなく、声のトーンや勢い、今までのセッションでの発言との整合性などを考慮に入れて、クライアントのメッセージの背後にあるものやクライアントの現在の状況を理解する様に努めます。

 ですので直接お会いする事によってより早く信頼関係を結ぶメリットは対面に少々譲るかもしれませんが、コーチングそのものの有効性や、コーチやクライアントがどこにいても簡単にセッションが設けられる利便性を考えると、電話でのセッションは決して対面セッションに劣るものではないと確信しています。

「答えは自分の中にある」


 コーチング関係の本を読んだりウエブサイトを訪れたりすると「答えは自分の中にある」という言葉を良く目にされると思います。簡単な言葉のようでいて私自身この言葉が腑に落ちるのは時間がかかりました。「自分の中に答えがあったらとっくの昔に問題は解決しているんじゃない?」「答えが見つからないから助けを求めているのに。。。」などと思ったものです。

 今は逆に「答えは自分の中にしかない」と思うのです。世の中にはハウツー物の本があふれていますし、自己啓発の本もいろいろとあります。それらの本を読んだ時はなるほど!と思うことも多いですが、それらの本に書かれている事を実践してみて大きく生活が変わったという経験はさほどないのではないでしょうか。人は本当に切羽詰まったり、変化にせまられている時には必然的に行動の変化を遂げるものです。そこで足踏みをしたり、アドバイスに添わなかったりする時には,何かしら現在の生活ややり方が自分にとって意味があるからではないでしょうか。つまりどんなに素晴らしいアイディアや意見も自分がそれを本当に必要としていなかったら結局は身につかないのではないでしょうか。

 ですから解決策を見つけてそれを実行するのに何よりも大切なのは、クライアントが自分にとって「何が本当に必要なのか」「最終的に手に入れたい物は何なのか」という事を認識する事だと思うのです。そしてそれを知っているのはご本人しかいないのです。ですから「答えは自分の中に」あるのです。コーチはまずクライアントが「本当に大切な物」を発見するサポートをします。そこがはっきりすれば、具体的な行動プランは建てやすくなりますし、それを実行に移すモチベーションも高くなります。


 クライアントが「答えは自分の中にある」と覚悟を決めた時に、人生の主導権は自分の物になります。そして、今まで他人や環境が変わらない限り自分の夢や希望がかなえられないと思ってきた状況も違ってみえてきます。

コーチが使うスキル


 コーチがコーチングセッションの時に使うスキルをいくつかご紹介します。これらのスキルはあなたが職場であるいは家庭でより良いコミュニケーションを持ちたい時にも使えます。

- 傾聴のスキル
クライアントの話をとことん聞きます。クライアントが話している事の内容だけではなく、その時クライアントはどういう心境であったか、話している内容がクライアントにとってどういう意味を持つのか、などという点に好奇心を持って聞きます。大事なのは聞いている最中にコーチがその内容に関して善悪の価値判断をしないことです。自分の話す事を好奇心を持って価値判断をせずとことん聞いてくれる機会を持っている人がどれだけいるでしょう。クライアントはそういう場を持つ事で自由に話したい事を話す事ができ、話す事で考えが整理でき自分を客観的に見つめる場を持つ事ができるのです。

- 繰り返し、言い直し、要約のスキル
クライアントの話を聞いた後に、コーチはクライアントの言葉をそのまま繰り返したり(クライアント「大変だったんです」コーチ「大変だったんですね」)、言い直したり(クライアント「どうしたら良いかわからないのです」コーチ「出口が見えない感じですね」)、要約したりします。クライアントは自分が発した言葉をコーチの口から繰り返されたり違った言葉で言い直されたりするのを聞く事で、自分が実際どう考えているのか確認する事ができます。

- 視点を変えるスキル
多くの方が、自分一人で物事を考えていて堂々巡りをして違う見方ができなくなるという経験をされた事があると思います。そこでコーチは視点を変えるために次のような質問をしたりします。「あなたに経済的、家庭的制約が何もなかったとしたら何をしたいですか?」又、できるできないに関わらずクライアントに考えられる行動の選択肢をリストアップしてもらいます。こうやってコーチは、クライアントが自由に考えを巡らすことで違う視点から物事を見たり創造的なエネルギーを活性化したりするきっかけを作ります。

アメリカのコーチング事情


 アメリカでは日本に比べて知らない第三者に自分の事を話す事に抵抗がないせいかコーチングが普及し、コーチという職業がしっかりと確立している気がします。ただその分多くの人が「コーチ」を名乗り、そのアプローチも人様々であるようです。

 コーチの人数も多くコーチングというフィールドの認知が高いためか、逆にコーチングが多くのサービスの一つ、という風に捉えられコーチサイドからは逆に以前に比べてコーチングというアプローチをアピールしていうのが難しくなった、という話が出ています。クライアントの方としてはコーチの選択肢が増えて自分に合ったコーチを探しやすくなったという事にもなります。

 ビジネスコーチングも盛んで、リーダーやマネージャーの養成にコーチングを導入している企業も多くあります。私自身企業向けの仕事が多いのですが、人材育成は社内で行う風潮が強い日本に比べて、アメリカは外部のコンサルタント、トレーナーやコーチを雇うケースが多く、リーダーシップスキルを向上させるために社内の優秀な人材にコーチをつけるという場合も多く見られます。又何か問題があるマネージャーにはとりあえずコーチをつけて問題解決をはかろうとする場合も多く見られます。

 コーチを養成する学校も様々な学校があります。それぞれの学校によってより行動面の変化に焦点をあてる学校、クライアントの価値観や内面的な部分、スピリチュアルな部分に焦点をあてる学校と様々です。コーチ同士で作っている組織やサポートグループも多く、コーチがそのスキルを引き続きみがいていくための機会も豊富です。

 コーチが、クライアントがコーチングを受けて何かしらの変化を遂げて前向きに仕事や人生を歩む姿を見て自分がそのプロセスに関われたということを何よりの喜びにしている、という点は日本もアメリカも共通の様です。


Doing (何をするか)とBeing (どうあるか)


 "コーチング・バイブル"(ローラ・ウイットワース、ヘンリー・キムジーハウス、フィル・サンダール著)という本の中で、コーチングの中では、クライアントのbeingとdoingの両方に焦点をあてることが大切だと書いてあります。

 Doingはどういう仕事をするかとか、何か具体的な目標を建ててそれを達成するためのステップを考える、など「何をするか」、つまり行動面に焦点があてられます。多くのクライアントの方はこの様な行動面でのサポートを受けるのを目的にコーチングを申し込まれます。

 Beingというのは「どんな自分でありたいか」 -例えばエネルギーに満ちているとか、ゆったりと落ち着いているとか、キラキラしているとか - という言ってみれば抽象的で感覚的なものです。Beingには自分の価値観であるとか、人生のどういう局面にいるかとか、doingに比べると自分のアイデンティティーや人生の大きな枠組が影響してくるといえるでしょう。

 Doing に焦点をあてたコーチングとbeingに焦点をあてたコーチングのロールプレーを見たことがあります。どちらもテーマはダイエットでした。クライアントのdoingに焦点を当てたコーチングではコーチはクライアントに次のような質問をしました。「何キロやせたいですか?」「やせるにはどういうオプションがありますか?」「どうやって成果をモニターしていきたいですか?」一方beingに焦点をあてたコーチングではコーチは次の様な質問を投げかけていました。「やせた自分を想像してみてください。どんな風に感じますか?」「その感覚は自分にとってどういう意味がありますか?」「その感覚を感じたままでダイエットをしている自分を想像してみてください。どういうやり方が思い浮かびますか?」

 行動面での目標を立ててそれを遂行していく事はもちろん大切です。そこでさらにbeingにも目を向けると、その行動を起こすとどんな自分になるのか、そしてそれが自分にとってどんな意味を持つのかを考えることにより、より自分の行動が、大げさにいえば自分の存在そのものとつながってくる事を感じます。

 例えていえばbeingを意識することによって「自分」という太い木の幹が確立する感じでしょうか。そして一つ一つの行動doingは枝や葉となって幹から栄養を得ている感じでしょうか。幹が太いと栄養素もいっぱいありますので、目標計画を実行していくエネルギーも沢山得られるでしょう。又,一見関係なく見えた2つの枝も太い幹でつながっている事が感じられれば、思いがけず行動のオプションも広がることもあります。

 私のコーチングでもこのようにdoingだけではなくbeing にも焦点をあてています。

人生のオーナーシップを持つ


 私たちの生活は会社や家族、社会や環境、など一見自分一人の力では変えられそうもない物や状況に囲まれています。そして人が一番ストレスを感じるのは自分のおかれている状況や問題に対して自分が何もコントロールできない、と思う時だそうです。

 その中で自分が一番変える事ができる可能性があるのは恐らく自分自身でしょう。それでも自分の性格や嗜好はそう簡単には変えられません。行動パターンも同じでしょう。何を変える可能性があるかというと、「物事をどう捉えるか」ということではないでしょうか。

 「どうせ自分なんか」と思うのと「自分は何ができるのか、どうしたいのか」と思うのとでは同じ環境でも全く違ってみえます。そして同じ事をしても、「自分にできること、したいこと」に目を向けて行動するのと、「どうせ…」と思ってやるのとでは、その人のコミットメントが違ってきますので、人からの受け取られ方も違ってきます。

 例えばレストランに行ってウエイターやウエイトレスに水の入ったグラスをテーブルに置かれるのでも、嫌々働いている人にドンと置かれるのと、笑顔でソッと置かれるのとでは、そのレストランに対する印象もグッと変わるというものです。そのウエイター/ウエイトレスの人は店のシェフやオーナーに不満を持っていて、その人たちが変わらない限りレストランは良くならない、とやる気をなくしているかもしれません。けれどもお客様にどう接するかを左右できるのは自分自身です。そこでお客様に良い印象を持ってもらう事で、その人は他の店にスカウトされる結果になるかもしれませんし、店の中でより高いポジションにつくことになってシェフやオーナーに今よりも影響力が持てるようになるかもしれません。例えそんな事がおきなくても、自分がお客様に誠意をもって接しよう、と決めてそれができた、と実感できた時には、充実感が違ってくるはずです。その充実感が次への一歩へと進むエネルギーを与えてくれます。

 「自分は何ができるのか、どうしたいのか」ということに目を向ける、ということは自分が自分の人生のオーナーシップ、つまり所有権、を持つという事です。そしてそれは先ほどの例の「水の置き方」、というような日常の小さな事柄から始められます。そういう小さな事の積み重ねで、今までは自分の力ではどうしようもできない、と思っていた状況が違って見えてくるはずです。

お勧めの本 1


「コーチング・バイブル」

この本は原著が英語のCo-Active Coaching (ローラ・ウイットワース、ヘンリー・キムジーハウス、フィル・サンダール著)という本の日本語訳です。著者はアメリカにおけるコーチ養成のための学校 The California Training Institute (CTI) の創設者、及び講師ですので、CTIを卒業したコーチにとってはまさしくバイブルですが、そうでない人にもコーチングとは何か、コーチングによってどういう事が達成できるのか、という事を理解するのには最適の本です。

コーチングについて書かれている本には、コーチングを一つのコミュニケーションスキルとして捉えている本が多くあります。そういう本では、コーチングに使われるスキル -- 例えば質問のスキル、リスニングのスキル、棚卸しのスキル -- について多く触れられています。そういう具体的なスキルはもちろん大切ですし、より良いコーチングセッションを行うためには欠かせないスキルです。

この「コーチング・バイブル」では、そもそもクライアントがコーチングを受ける際に目指す「より良い人生」というのはどういう前提に成り立っているのか、そしてそれを達成するのにはどういう要素が必要か、という点を掘り下げています。それに基づいて、コーチとクライアントの関係とはどうあるべきか、そしてコーチに求められる資質(傾聴、直感、好奇心など)について言及し、その上でもっと具体的にコーチが使える上にあげたようなスキルを紹介しています。

この本を読むと、コーチが人生に対してどういう前提を持っているのか、そしてクライアントとどういう関係を築いていこう、としているのかが、コーチがどういうスキルを使うかに大きく影響してくるし、それがコーチングの成果にも大きく左右することが理解できます。そしてコーチングが単に人をやる気にさせるコミュニケーションスキルではなく、クライアントの人生全般に大きなインパクトを与える可能性があるものだ、という事を再認識させてくれます。

グローバルに活躍するために 1


コーチングとは直接関係ないかもしれませんが、アメリカに住んでいろいろな国の人たちと仕事をしてきた経験から、 グローバルに活躍するために何が必要か、というテーマについてこのコラムでふれてみようと思います。今回はその第一回めです。

まず、「自分は何をしたいのか、何を伝えたいのか」をはっきりさせる事が大切だと思います。外国人に受け入れられるのか、 とか、競争に勝てるのか、とかを分析したくなる気持ちをちょっと横に置いておいて、「自分のやりたいこと」、 そして「どうしてそれをやりたいのか」、そしてそれをやっている時にどういう気持ちがするかを十分味わうこと。 たとえば自分の作曲した音楽をいろいろな人に聞いてもらって元気になってもらいたい、開発したゲームを紹介して楽しんでもらいたい、 お気に入りの商品を使ってもらって豊かな生活を送ってほしい、といろいろな「したい」があるでしょう。

そんな自分の発信したいメッセージがはっきりしたら、次はそれを文化の違う相手に伝わるようにコミュニケーションする手段を 講じることが必要です。この段階では「言葉の壁」というのにぶつかりがちです。コミュニケーションの手段としてまず英語能力の 習得を頭に浮かべる人が多いと思います。けれども私は、今の日本では多くの人がこの言葉の壁に囚われすぎているような気がします。

何をするのにも、英語ができないから、と一歩が踏み出せないでいる人が多くいます。自分に英語力をつけるのはもちろん大切ですが、 通訳を雇うという方法もあります。もしくはあなたがやっている事に興味を持ってくれる人で英語を話せる人の協力を仰いではどうでしょうか。 「自分がやりたい事」がはっきりしている人の回りには自然に協力してくれる人が集まります。

又、言葉の違いだけではなく、文化が違えば仕事のやり方や人間関係のあり方など、自分ではこれが当然、と思っているやり方が相手にとっては そうではない、ということが多くあります。文化の違う相手に自分のやりたい事を伝えて賛同を得るには、相手がどういう前提を持っているのかを 知る事も必要となってきます。それと同時に自分の持っている前提や価値観を知る事 - 何が自分にとっては大切で、どういう事には柔軟になれるか、 という事を知る事は、相手に自分の事を伝える時に大きな助けになります。

この様に一言でコミュニケーションといっても奥が深いですし、簡単な事ではありません。アイディアはいろいろと持っているけれど、 コミュニケーションが下手なために日本で受ける評価ほど高い評価を得られない人も沢山みてきました。しかし、いくら英語力があっても、 「自分の伝えたい事」がはっきりしていない人は伝える内容がないわけですから魅力がありません。逆に英語はそれほど上手くないけれど、回りに 「面白そうな人」「あの人には何かある」「一緒に何かやりたい」と思わせるものがある人もみてきました。そういう人に共通する点は「自分」 というのをはっきり持っていて、そこからくるエネルギーが言葉を越えて回りにも伝わっているという点があげられます。

つまりグローバルに活躍するためには何よりもまず「自分らしさ」が何かを理解すること、そして「自分の伝えたいこと」は何かを明確にする事 (その内容だけではなく何故それが自分にとって大切なのかも)だと思います。グローバルコミュニケーションの具体的なスキルに関しては追々 このコラムでも取り上げていきたいと思います。

直感の力


コーチングでは、「直感の力」というのを重視します。それはコーチの直感、そしてクライアントの直感、の両方にあてはまります。

例えばコーチは、クライアントが口に出して言わなくても何かにひっかかっている様子が感じられたら、「これはただの直感なんですが、、、」と言ってそのひっかかっている感じを指摘します。又、クライアントの言った言葉から何かひらめいたら、「今、あなたの言葉からこんなイメージが浮かんだんですけど、、、」と言ってそのひらめきをシェアします。

コーチがクライアントに対して感じた直感は必ずしも合っていないかもしれません。例えば上記の例では、クライアントは別に何もひっかかっている事はなく、ただ部屋の外の騒音に気を取られていただけかもしれません。

コーチの直感は合っていても間違っていてもあまり大きな問題ではないのです。 コーチの直感が時には間違っていても、それは一つのインプットとなります。直感に基づいた質問や指摘は、論理的思考に基づいたものとは違った角度からクライアントの脳や気持ちを刺激し、違った反応や答えを引き出す可能性も出て来ます。例えば先ほどの例では、クライアントはコーチの“ひっかかった感じ”という言葉から、その時話している事柄とは直接関係ないけれど、最近気になっている事を思い出すかもしれません。そして実はそれが今話している内容に影響を及ぼしている事に気づくかもしれません。

又、コーチはクライアントにも自分の直感を尊重して、それに耳を傾けることを勧めます。例えばクライアントが何かを決める際に、理にはかなっているけれどなんとなくピンとこない選択肢があるとします。一方、一見実行不可能に見えるけれども何故だか魅かれる選択肢があるとします。そういう時には「何故だか魅かれる」という自分の直感に耳を傾ける事を提案します。

そもそも直感というのは何なのでしょうか。科学的解明はなされていないと思いますが、私は直感とは自分の今までの体験や考えてきた事、自分の感情、その時の場や一緒にいる人が与えてくれるエネルギー、などありとあらゆる情報が合わさったものだと思います。ですから論理的思考だけでは導き出せない力が備わっていて、クライアントが持っている問いに対する答えの選択肢の幅を拡げてくれるのではないでしょうか。

このようにコーチが直感を用いる事で、様々な角度からクライアントを刺激することになり、クライアントは自分の直感に耳を傾けることで、自分自身をフルに使ってより良い答えを導き出したり行動を起こしたりする可能性が増えるのです。

EQ (エモーショナル インテリジェンス)


EQ (エモーショナル インテリジェンス、Emotional Intelligence Quotientの略)とは、IQ (Intelligence Quotient) が知的能力を表すのに対して、いわば “感情能力”を意味します。

EQが高い人は、自分の感情の動きを把握しそれと上手く付き合い利用し、回りの人の感情も考慮に入れ物事を進められる人です。

このEQはIQ に負けず劣らず、仕事での成功を左右するという認識が高まっています。たとえばオリンピック選手をみてみても、十分な力がありながら緊張やプレッシャーのために本番で実力が発揮できない人が多くいます。 又、会社でも仕事に関する知識は高くても、回りの気持ちを考えず一人で突っ走るタイプの人はなかなか回りの信頼を得られず、せっかくの知識がプロジェクトの成功に結びつかないケースも多くあります。

この様に“感情”が人の行動や成果に与える影響はとても大きいのです。

そして感情はその人の価値観や考え方、物事の優先順位などを知る大きな手がかりとなります。悲しみや怒りなど強い感情を感じた時は、始めはその感情を引き起こした相手や出来事など表面に見えるもののせいだ、と思いがちです。 けれども、良く考えてみると、強い感情を引き起こしたのは、何かしら自分が大切に思っている事を否定されたからだ、と思い当たる事も多いと思います。

自分にとって何が大切かがはっきりすると、自分の軸がはっきりとしてきますので、その後の行動や大きくいえば生き方の大きな指針ができます。感情はそんな大切なものに気づかせてくれる大きなきっかけを与えてくれます。

自分の感情に蓋をしたりコントロールして感じない様にすると、自分にとって大切な事に気づくせっかくのチャンスを逃してしまいます。感情に左右されて行動しては良い結果は生まれませんが、感情から目をそむけても本当の意味での充実感は生まれないのです。

自分の中に生まれてくる感情に焦点をあててじっくりとひたってみるのも、忙しい毎日の中では大切な事です。

答えを見つけるプロセス


コーチングを受けられる方は、何かしらの問いに対する答えを求めている人が多いと思います。例えば“今後のキャリアをどうしようか”、“もっと充実した生活を送るためには何が必要か”とか。

そんな時にその質問をそのままぶつけても答えは出てきません。そこでコーチは“あなたは何をしている時が幸せですか”とか“今までの人生で、自分で最も活き活きとしていた瞬間は?”など様々な角度から質問を投げかけます。

そしてそういう理論的な質問だけではなく、もっと感情やフィーリングに訴えかける質問もします。“充実感を感じている時の自分を色に例えると?”とか“今感じている感情は身体のどの部分で感じていますか?”などと聞いてみます。そうする事によって自分の現在の状況や将来のイメージを体感してもらうのです。

こういう風に、いろいろな方向からボコボコと細胞を刺激してあげると、ふと「あ、そうか!」と何かがひらめく事があります。そのひらめきの瞬間は、今までバラバラだった要素が化学反応を起こして違う物に変化するような、又はパズルのピースがピタッとはまるような、なんともいえない突き抜けた瞬間です。

そこで得たひらめきは、自分のもともと持っていた問いに対する答えの時もあれば、今までの自分の見方が変化して、はじめに持っていた問いそのものが無意味に思えたりする様な視点の転換であったりもします。そこで得た答えやひらめきそのものも重要ですが、その答えを探しに行くために、自分の中のいろいろな考えや意識していない感情にアクセスする事によって、思ってもいない力やアイディアを発揮するという、予想外の収穫もあります。

こうしてみると、答えを見つけるプロセスというのは、直線的なものではなく、もっと有機的で多面的なものだとも言えます。理論だけで考えるのではなく、感情、感覚、今までの経験、記憶、イメージ、などありとあらゆる事を総動員した時にはじめて、鮮やかなひらめきの瞬間が訪れのではないでしょうか。

コーチングセッションは、そういうクライアントの方の持つあらゆる感覚や力を引き出す事のできる場であり、自分自身では刺激しない細胞をコーチの質問や提案によって刺激する事のできる、ある種実験の場であると言えます。